和の森法律事務所

18歳で成人に?! 民法の成年年齢の引き下げを考える(3)

 政府が、成人年齢を20歳から18歳に引き下げるための民法改正案を来年の通常国会に提出する方針を決めたと報道され、法務省は、9月1日から同月30日までの間、民法の成年年齢を現在の20歳から18歳に引き下げることを前提として、法律の施行方法について、ネットで意見を求めていました。しかし、引き下げることの可否についての意見は求められませんでした。

 成年年齢の引き下げの問題は、18歳になれば飲酒や喫煙ができるようになるのか、などということではなく、高校3年になると誕生日を迎えた人から順次、成年となり、教室の中に成年と未成年が混在し、高校を卒業した時点では、全員が成人となり、親の同意がなくても自分の判断で自由に契約ができる反面、現在は、20歳まで認められている未成年者取消権が認められず、契約した責任を免れなくなることです。

 現在でも、若者が知識や経験の不足につけ込まれ、20歳を過ぎたとたんに消費者被害が激増する現状を鑑みると、成年年齢の引き下げにより、社会経験が皆無のまま高校を卒業した18歳以上の若者の被害が急増するのではないでしょうか。

 政府は、選挙権を認めたのだから成年として責任も負担すべきだとするようですが、そうではなく、成人として、社会の一員として自己責任を負うことができる能力があるから成人としよう、ということだと思います。また、世界各国の成年年齢が引き下げられたのは、ベトナム戦争の頃で、徴兵年齢と関係しています。兵隊となって戦場に送られるのに未成年というのは、さすがにおかしい、ということです。

 成年年齢の引き下げは、若者の現状を正しく認識したうえで判断すべきことで、軽々に進めるべきではありません。

 また、成年年齢の引き下げとは別に、若者の知識や経験不足につけ込んだ消費者被害が減らないことから、その被害の発生を予防し、発生した被害を容易に救済できる法制度を設けることも急ぎ検討していくべきことだと考えます。

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